先日当社が仲介を断った物件が、他社から売りに出ていました。
高台にある再建築不可物件です。
高台に在ろうと、再建築不可であろうと、雨漏りしていようと、
買主がそのリスクを十分承知して購入するのなら、
当然のことながら何も問題ありません。
しかし一般の方は低額物件の場合、
「安い」と飛びついて、
リスクを分かっていない、
説明しても何とかなる程度で、きちんと理解しようとしない人も多いです。
この物件が所在する周辺は、4m道路に高低差無しで接道している場合でも、
土地価格は坪5~7万円程度。
再建築不可であること、
接道幅が狭く、駐車不可であること、
擁壁を築造し直す必要があり、その工事費がかかること、
使用不可の建物が建っていて、使用するには多額の修理費用が、
土地として使うなら解体費用がかかること等々を考えると、
次の買主は、資産的に数百万円のマイナスになる物件を、
わざわざお金を払って購入することになります。
ようするに、一般人が絶対購入してはいけない、ババ物件です。
こんな物件を売れば「不幸のババ抜きの連鎖」の
お手伝いをすろことになり、
当社は断ったわけです。
ところが買主の立場でみればそうなりますが、
売主の立場になると、この物件を見事に売ってくれた業者は、
他の不動産業者から売買を断られた、手に余っていた、
物件を処分してくれた
「親切な不動産屋さん」という事になります。
仲介は利益が相反することがある仕事ですから、
信念やプライドを持って仕事しないと、
片方に引きずられることになります。
相場より高く売ってくれれば、
売主の評価は「仕事のできる不動産業者」ですが、
買主の立場なら
「相場の分かっていない一般人に高値で売りつけた悪徳不動産屋」です。
売主に一方的に肩入れすると、買主に損をさせることになり、
買主に一方的に肩入れすると、売主に損をさせることになる。
貸主にこびへつらうと、借主に不満をいだかせ、
借主の言う事を何でも聞くなら、貸主に負担を強いることになります。
この業界に入った頃、この点に悩んで、親しくしていた同業の先輩に相談したことがあります。
答えは単純明快。
「自分が儲かるほうの肩を持て。」でした。
それぞれの業者、担当者で答えは異なると思いますが、
当社はこれからも、
「不幸のババ抜き連鎖物件」の売却はお手伝いしませんし、
「ほぼクレーマーの借主からの修繕要求」は却下で、
なかなか難しいですが、
「公正中立」で営業していきます。
尚、「公正中立」の判断基準は私の独断です。(笑)